湖山病院20周年記念式典バスツアーに参加して (5)
みなさん、こんにちは。「ヘルスケア・デザイン・レポート」学生記者、小山剛史(日本大学芸術学部文芸学科2回生)です。
【湖山病院20周年記念式典バスツアーに参加して (1)】
【湖山病院20周年記念式典バスツアーに参加して (2)】
【湖山病院20周年記念式典バスツアーに参加して (3)】
【湖山病院20周年記念式典バスツアーに参加して (4)】の続きになります。

今回の記念式典のメイン・イベントともいえる荒木由美子さんによる記念講演です。
テーマは「私の介護~荒木由美子が語る愛と感動の家族物語~」
荒木由美子さんプロフィール1960年1月25日生まれ。佐賀県出身。1976年に「第一回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞し芸能界へ。翌年アイドル歌手としてデビュー。1983年に13歳年上の俳優湯原昌幸氏と結婚、芸能界を引退。結婚した二週間後に義母が倒れ20年に渡って介護する。自身の介護体験を基に「覚悟の介護」を出版。また2004年に芸能活動を復帰、自身の介護体験を語る講演会も精力的に行っている。
今となってはアイドル発掘の代表といえるホリプロタレントスカウトキャラバン。その第一回目審査員特別賞に輝いた16歳の女の子がみた未来は夢に見た華やかな芸能界ではないでしょうか。
7年間で芸能界を引退。年の差13もある結婚でしたがそれもまた人生の転機として受け入れていたに違いません。まさか結婚をした二週間後に介護をしなければいけなくなるとは考えもしなかったはずです。

足の血栓により入院をした義母でありましたが、ひとり息子の湯原昌幸氏が結婚をし、よくできた嫁をもらったことでほっとしたことで何か糸がほぐれてしまったのではないかと荒木さんは語ります。そこから義母が認知症を発症し始めます。
軽い認知症でもよくいわれる「ごはんまだ食べていない」などの会話が毎日続くと精神的にじわじわと疲弊してしまいます。そんな日々を乗り越えるために考えていたことが、
「今日一日を精一杯やろう」
この気持ちだそうです。
夫の湯原さんはそんな荒木さんを常に励ましてくれたそうですが、励まされると余計に辛い気持ちを吐き出せなくなるといいます。
認知症は一日ずっといればわかるものですが、他人にはわかりにくいものです。義母の介護を始めて8年ほど経つと在宅介護の限界が見えてきます。荒木さんご自身もストレスで円形脱毛、胃潰瘍に悩まされます。しかしそれでもアイドルだから介護ができなかったといった世間の目がやはり気になり、自分でやり抜く気持ちをつよく持っていました。

義母は鬱病からひきこもり状態になり自分の部屋から一歩もでなくなってしまいます。見かねた夫の湯原さんが呼びかけ部屋からでてきた義母は突然、湯原さんに体当たりをしたそうです。もう義母には息子の湯原さんを勝手に家に入ってきた男と区別することができなかったのです。とっさに湯原さんは義母の首に手をかけます。
もう終わりだと思った、と荒木さんはいいます。
お通夜のような生活を送るようになり、施設に義母を行かせる決心をします。
一年間の施設めぐりを経て、ひとつの老人保健施設に決めます。老人保健施設での同じ境遇の方々とのお話はとても気が楽になったといいます。笑顔を取り戻していきます。
2002年12月25日、義母が白血病であることがわかります。もう先がないという診断に荒木さんは一日一日、悔いのない生活をしようと考えます。
「私はどこにいるの」と病院のなかで聞いてくる義母に笑顔でおかあさんここは病院ですよ、と答える荒木さん。
年も明けた1月8日のこと義母の顔をなでる荒木さんには義母がまるで化粧をしているかのように綺麗に、とても元気そうにみえたそうです。そのとき義母が、
「こんな私を長いこと見てくれてありがとう」
と言ったそうです。
翌日義母はこの世を去ります。
「やり終えてよかった」
と荒木さんは感じます。嫁いだ意味がここにあったとも語ります。
そしてその経験を生かした本「覚悟の介護」の出版、また芸能界復帰の声があがったことは、荒木さん曰く義母からのご褒美だそうです。
壮絶な介護体験のお話、笑い、涙ながらに話す荒木さんを前に私も目頭が熱くなりました。
追伸:
日芸マスコミ研究会のブログでもレポートしていますので
ご覧いただけると嬉しいです。
『医療法人財団百葉の会 湖山病院 20周年記念式典』バスツアー part1
小山剛史(こやま・たかふみ)プロフィール

1990年1月10日生まれ。神奈川県出身。
日本大学芸術学部文芸学科二回生。雑誌編集、制作と小説創作、評論を学ぶ。文章芸術(造語)に限らず、アート、ファッション、ミュージックカルチャーの最先端をみていくことを目標に、日々日芸マスコミ研究会にてインタビュー、ブログ執筆を行う。また映像制作団体 BOTTLEKEEP現代表、ジャーナリストの底上げを目指す団体「スイッチオン」運営委員としても活動中。
日芸マスコミ研究会ブログhttp://nuartmasuken.jugem.jp/
日芸マスコミ研究会メールアドレスnichigeimasuken@gmail.com


